空前のマンション販売ブームが来ています。売る側も買う側も「いつ買うの、今でしょ!」といわんばかりの勢いです。消費税が2段階で増税されることと、市中のキャッシュ供給が増えて物価上昇、インフレが起きる見込みが高いことがあります。こんな時に気になるのが住宅の賃貸VS購入のどちらが得なのかという論争です。
答えは、「あなた次第」ということです。
金銭的には持っている自己資金の額やローン利率、利用できる税金の優遇、各種補助の活用です。得になる度合には大小ありますが主だったものをあげてみます。
資金調達コスト:
自己資金が少ない場合や信用度が低い場合は、賃貸が得です。自己資金が多い場合や信用度が高い場合は購入が得です。
低金利もしくは自己資金で買う場合は大抵の場合、購入が得になるはずです。どうしてかというと、賃貸の物件もオーナーが建設したり購入したりして貸しているわけで、儲けるためにやっています。それを借りて得になるのはあり得ません。買えるなら買った方が得でしょう。
これから注目されているのが相続税対策という視点です。住宅取得等資金の贈与に関しては大きな非課税枠があります。親から子への贈与が有利です。申告などの所定の手続きが必要です。「平成24年分・平成25年分・平成26年分 住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし」に詳しく書かれています。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 (国税庁)
あと、あまり知られていないのがこちらの配偶者控除です。例えば多額の退職金や相続などで夫婦の一方の財産が多くなっている場合に、将来の相続税を回避する目的で活用できます。居住している土地や建物だけでなく、これから購入する場合にも活用できます。なお、贈与と取得に関して適用のためには同一年度である必要があるので注意です。
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除 (国税庁)
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
優遇措置:
公的な補助や税金の優遇が賃貸の方が多く受けられるか、購入の方が多く受けられるかは地域やその人個人で異なります。そしてさらに差が付くのが勤め先の企業からの手当などの優遇措置です。住宅手当や住宅ローン減税(所得税の控除)、ローンの利子補充が受けられる場合には購入が得に、家賃補助や社宅などの福利厚生がある場合は賃貸が得になるでしょう。
税金:
最初にかかる税金です。
賃貸一時 :印紙税
購入一時 :不動産取得税、登録免許税、消費税、印紙税
一般に住宅を保有する場合、固定資産税と都市計画税が毎年かかります。
購入居住中:固定資産税、都市計画税
※税金ではありませんが賃貸の場合、更新料などが発生することがあります。
そのほか:
購入の場合は付随する権利を使って、様々なことが可能です。担保に差し入れてお金を借りたり、他人に貸して収入を得るということが可能になります。賃貸でもさらに貸すサブリース(また貸し)ができるケースがありますが一般的ではありません。
忘れがちですが、購入した不動産は売却できます。賃貸の借りている不動産は契約が終わったらそれっきりです。住宅の賃貸VS購入を論じるときにはここまで考える必要があります。
一番得なのは、自己資金で将来資産価値が増える可能性高い人気物件を様々な優遇措置を活用して取得することです。一番損なのが、高金利のローンで将来資産価値が減る可能性のある不人気物件を取得することです。ローン金利の負担、税金、値下がりリスクを抱えてしまいます。特に利便性の低い土地に注文住宅で独自の趣向を凝らして建てた家は資産性が低くなります。(金銭に換算できない満足度があると思いますが、第三者には考慮できません。)
賃貸はというと、不確実性の高い現代で低リスクで自由度がとても高いです。子供の通学や自身の転勤のたびに近い場所を借りれます。家族構成の変化に合わせた間取りのマンションを借りれる点も大きいです。
住宅の賃貸VS購入の視点は、家族観や人生に直結します。賃貸にはライフスタイルとライフサイクルに最適化できる点があります。購入には安定感や安心感があります。この部分をいかに金銭に換算するのか、つまりはあなたや家族の価値観次第ということになります。